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3話

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まるで、私たちは空気…。

レミちゃんと堂島どうじまくんは仲良さそうに話し込んでいて2人の雰囲気は、端から見れば仲良しのお似合いカップル…。


清楚なレミちゃんと、大人っぽく落ち着いた雰囲気の堂島くんは、とてもお似合いだった。



「あ! そうだあらたくん、咲ちゃんと美羽ちゃんと同じ中学だったんでしょう?」



私たちの存在を思い出したように言ったレミちゃんの言葉に、堂島くんがようやくこちらを見た。

堂島くんと目が合った瞬間、心臓が高鳴る。

中学2年生のときに振られて、何となく堂島くんを避けていたから、こうして目を合わせたのは久しぶり。

ずっと掛けている黒縁のメガネは、クールな雰囲気の堂島くんに、とても似合っていて久しぶりに見てもやっぱりかっこいいと思ってしまう。



「何だ、斎藤さいとう澤井さわいもいたのか。レミと同じ高校? 偶然だな」


まるで興味がないような口調…。レミちゃんと話してたときとは大違いだ。



神明じんめい学院もこの駅が最寄りなら、これから良く会うね?」



レミちゃんが可愛く言うと



「そうなんだよ。ったく、神明とバカ校が同じ駅なんてあり得ないよなあ…。バカが移りそうだ」



堂島くんは、溜息を吐きながら言った。



ちょっと、バカが移るって…。


堂島くんが進学した私立神明学院は、日本でもトップクラスの進学校で、生徒のほとんどは名門大学へと進学する。

下から数えた方が早い私たちの通う高校とは、雲泥うんでいの差だ。


だから、バカだと思われるのは仕方ないけどそんなこと、わざわざ言わなくても良いのに…。


相変わらずの堂島くんに



「堂島、あんたやっぱり性格悪いわね」



咲が呆れてそう言うと



「頭さえ良ければ、人生どうにでもなるさ。君たちは、性格良くないと人生破滅するから気を付けた方が良いよ」



堂島くんは、ニヤッと意地悪く笑ってそう言い、咲が言い返そうと口を開く前に友だちの元へと戻った。




「キーッ!! ほんっと性格悪っ!!」



堂島くんの後ろ姿にベーッと舌を出して怒る咲をなだめながら、来た電車に乗り込むと



「そういえば、何で堂島と知り合いなの?」



ふと、思い出したように咲が問い掛ける。そういえば、その謎を忘れていた…!!



「ん? ああ、私の友だちと堂島くんが付き合ってるんだよ」



ふふふっと可愛く笑って言うレミちゃん。



「「………まじか」」



思わず、咲とピッタリ声がハモった。



堂島くん、彼女いたんだ…。



「その友だち、バカ?」



唖然としている私の代わりに、咲が私の気持ちを代弁して一番気になったところを質問してくれる。

私にとってその子の容姿とかはあまり興味なく、一番気になるのはバカなのかどうか…だ。


だけど、堂島くんは私に「バカは論外」と言って振ってるんだから、バカなわけない。


きっと、頭が良くて優秀な子なんだろう。





そう思っていたのに―――…





「ん~正直言えば結構…。うちの高校にも落ちてたし…ね」



私の予想は、ハズレた。

うちの高校に落ちてるということは、私よりも下ってこと…?

振られたときよりもショックかもしれない…。


だけど何となく、これでようやく私の恋が終わった気がする。


「バカは論外」なんて言って振っといて私よりもバカな子付き合ってる。

つまり、堂島くんにとって別に‘‘バカは論外’’てわけではないということで


ただ単に、私のことなんて好きじゃなかっただけ。

これでもし私の頭が良くても、きっと答えは同じだったんだろう。




「美羽、ドンマイ」


「え? 何、美羽ちゃんもしかして…」


「美羽、堂島に告白して玉砕ぎょくさいしてんの」


「えーっ!! うそーっ!!」


「シーッ! レミここ電車の中!」



大きな目を、さらに見開き驚くレミちゃんは、電車内だということを完全に忘れていた。



「あっ、ごめんっ!」


「そんな驚くこと?」


「だって、美羽ちゃんが新くんにでしょ? 意外!」


「そうかな? 何か、クールな雰囲気がかっこよくて…」


「えぇ! 雰囲気だけ?」


「ううん。中学2年生のとき、同じクラスで隣の席だったんだけどね、いつも勉強教えてくれたの。それで―――…」



中学2年生のとき、たまたま席替えで隣の席になった堂島くんは毎日私にバカだクソだと暴言を吐いていたけど私が勉強でわからないところを質問すれば、きちんと教えてくれた。


たまに、授業をサボったときも堂島くんにノートを貸してもらった。そのときも、サボるからバカになるんだとかグチグチ言われたけどそれでも、ちゃんとノートを貸してくれた。


言葉とは裏腹に、優しい面もある堂島くんのことを、私はだんだん好きになっていて



「美羽のこと好きなんじゃないのー?」



という、友だちの言葉を間に受けて告白したが見事に、振られてしまった。



「―――そんな感じかな」


「ふーん…そうなんだ」


「うん。で、振られたときにバカは論外とか言われたから、今付き合ってる子の話を聞いて驚いちゃったし、少しショック…」


「確かに…新くん、何考えてるんだろうね…」



何となく微妙な空気になったところで、タイミング良く電車が駅に着きこの次の駅で降りるレミちゃんとバイバイして私と咲は電車から降りた。


「明日は遅刻しないよーに!」


「わかってるよー。バイバーイ」



途中まで帰り道が一緒の咲と別れて家に帰ると、ちょうどお母さんとお兄ちゃんが、仲良くご飯を食べていた。

お母さんとお兄ちゃんの話し声や、美味しそうなご飯の匂いに肩の力が抜けて行く気がする。


一応、こんな私でも初めての高校に緊張していたみたい…。



リビングへ向かうと、食卓には美味しそうなお昼ご飯が並んでいた。


「「おかえりー」」


「ただいま」


「高校、どうだったの?」


「楽しかったよ。レミちゃんって子と友だちになれたし、咲と同じクラスだったし」


「あら、また咲ちゃんと同じなの? 良かったわねえ。本当、咲ちゃんとは縁があるのね」


咲ちゃんがいれば一安心ね、と言うお母さんに同意すると


「お前も、咲を見習ってさっさと彼氏作れよ」


お兄ちゃんが、ニヤッと意地悪く笑ってそんなことを言い始め


「本当、咲ちゃんは彼氏いるのに、どうして美羽にはいないのかしらねぇ」


お母さんまでその話題に便乗した。


最近、彼氏できた?  って話題ばっかり。


まだそんな焦る年齢でもないのに…。というか、15歳の娘に、早く彼氏作れって言う兄と母って、どうなの?


この手の話題が苦手な私は、自分の部屋に行こうか迷ったが美味しそうなご飯の誘惑には勝てずいつも通り自分の席へと座り、ご飯に手を伸ばす。



「早く彼氏作らないと、周りに置いてかれるぞ。そのうち咲にも見捨てられちゃうな」


「もーっ、お兄ちゃんには関係ないでしょっ!」


「そんなムキになるなよ」


「別にっ! ムキになんてなってないよ! 彼氏なんていなくても楽しいもん!」


ああ、やっぱり部屋に行けば良かったかも…。


お兄ちゃんの言葉に思わず言い返すと、不敵な笑みを浮かべるお兄ちゃん。


うわあ…何その顔。すっごく嫌な予感がする。



「ほーん…わかった、好きな人はいるな」



ニヤッと笑いながら言うお兄ちゃんの言葉に、思わず心臓が跳ね上がった。



そして、お兄ちゃんのその言葉を聞いて頭に浮かんだのは―――…





堂島くん。




………ではなくて



村瀬むらせ先生だった。