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社長は、私が書いた退職願を二つに破ってゴミ箱へと捨てた


「…三木、コーヒーを持ってきてもらっていいか?」


社長は小さく溜息を吐いて椅子に凭れた


社長の溜息で心がズキッと痛んだが、私はいつも通り微笑んだ


「分かりました。直ぐにお持ちします」


踵を返し社長室を出ると続きになっている秘書室でコーヒーメーカーの電源を入れた



分かってる


社長は仕方なく私と付き合うのだから溜息の一つや二つ吐きたくなるのも分かる


だからこそ、社長に私を好きになってもらう



コーヒーを淹れると再びノックして社長に入る


「お待たせしました」


「ありがとう」


デスクにコーヒーを置くと社長が私を見据えた


ドキッと鼓動が跳ねると


「三木、今日の夜は空いてるか?」


「え…はい、空いてますけど」


「だったら食事に行こう。仕事が終わったら迎えに行く」


「は…はい」


社長は、言い終わるとコーヒーを一口飲んで仕事に戻った


「では、失礼します」


お辞儀をして社長室を出るとドアに凭れた



今のって…デートのお誘いだよね?


絶対、私から誘わないとデートしてくれないと思っていたのに



嬉しくてその場で飛び跳ねたい気分だった



いやいや、落ち着け



深呼吸をして落ち着かせる



それよりも、何を着よう


ワンピースあったかな?


こんなことなら、もっと可愛い服買っとくだった



突然のことに仕事が終わるまで私は社長とのデートのことで頭がいっぱいになってしまった


途切れ途切れになる集中力をなんとか保ち、終業時間までなんとか仕事をこなした


私は定時で仕事を終わらすことはできたが、社長は滅多に定時で終われたことはない



本当に今日社長とデートができるの?



本当はデートなんて誘われていないじゃないかと、不安を感じながら社長室のドアをノックした


「社長、私そろそろ帰らせてもらいますが…」


不安気に社長室に入ると社長はパソコンから目を離し


「あー、お疲れ」


いつもの調子で話す社長



やっぱりあれは、私の願望?



「では、お先に失礼します」



何も言わない社長に、やっぱり私の願望だったと凹んで社長室を出ようとすると


「会社を出る時、連絡するから」


「え!」


振り返ると社長はパソコンに向かって既に仕事を続けている


私は「はい」と返事をすると社長室のドアを閉めた



よかった!夢でも私の願望でもなかった!!


それなら…



私は急いでパソコンの電源を落として、デートの準備の為に駆け足で会社を後にした