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お嫁

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会社に行けば、私と部長は以前と変わらない距離感で接する


仕事をして、ちょっとした休憩時間にスマホで賃貸物件の情報を見ていた


大学生から住んでいた場所で、引っ越しとなると寂しい気持ちになったけど、それ以上に元カレとの思い出の方の私には辛かった



浮気されるなんて…


私の何がいけなかったんだろ


そりゃ忙しい残業が続いた日もあったけど


よりによって私のベッドで浮気相手とするなんて



ボールペンを持っていた手に力が入った



ベッドは買い換えよう


とても、あのベッドで寝る気になれない



現に浮気が発覚してから私はあのベッドには寝ていない


「はぁ〜」


何度も同じ事を考えては溜息をいてしまう



ダメだ。ちょっと外の空気吸ってこよ



従業員用に解放されている屋上で気分転換をするこにした


屋上に上がると私の心とは逆で空は雲ひとつなく晴れていた


「う〜、気持ちいい」


伸びをしてフェンスにもたれた


元カレのことで凹む自分が情けなくなる


「気晴らしに引っ越しが終わったら、一泊で温泉にでも行こうかな…あー、でも引っ越ししたらお金無いよね、ベッドも新しいの買うし」


フェンスに凭れ項垂れると


「俺が連れて行ってやろうか?」


「え?」


びっくりして後ろを振り返ると部長が立っていた


「温泉、今週末はどうだ?」


部長は持っていた缶コーヒーを渡してくれた


「ありがとうございます…あの、でも週末は引っ越し先を探したいので」


部長は隣に立つとスマホを取り出し


「別に一週間引っ越しが延びても何の問題も無いだろう。温泉は箱根とかどうだ?」



さすが部長仕事が早い!もう温泉宿を探してる…じゃなくて!



「や、でも!それだと部長のマンションに居るのも延びてしまいます」


「俺は、延びても一向に構わないが?宿は予約しておくよ」


「部長!」


部長は背を向けたが、何かを思い出し直ぐに私の方へ戻ると、キスをした


「っ!!」


「今日も昨日と同じ時間で待ち合わせな」


そっと耳打ちをして部長は何事も無かったように部署に戻っていった


耳打ちされた耳が熱を持ち、頬が赤く染まる


「部長の所為でまた戻れない」


私はベンチに座って部長がくれた缶コーヒーを開けた




今日も気合いを入れて約束の時間までに仕事を終わらせ、部長と一緒に私のマンションに向かった


今回はスーツケースに必要な物を詰めていく


「よし、これで暫く帰ってこなくて大丈夫」


スーツケースを部長の車に積み込み発進した


「部長、今日ご飯はどうしますか?」


「今日は、俺が作る」


「え!部長が!」



確かに今日の朝ごはんは部長が用意してくれたけど…本当に何でも出来る人なんだ



「本当に部長って何でも出来ますね。部長だったらいつでもお嫁にいけますよ」


「だったら星野が嫁にもらってくれるか?」


「え!?」


「冗談だよ」


部長は笑って私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた



冗談…



何故だか部長の言葉に胸の奥がチクッと痛くなった