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ギャルソンエプロン

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マンションに着くなり部長は黒のギャルソンエプロンを身につけ晩御飯を作り始めた


手慣れた様子でキュウリを輪切りにしていく部長



カッコいい…


これは、部長のファンじゃなくたって惚れる


やっぱり、一家に一台部長だね、目の保養にもなるし



でも、ダイニングテーブルから何もせずに部長を眺めているだけでは気が引けるので


「部長、私にも手伝わせてください」


「そうか?だったらレタス千切ってくれるか?」


「はい!」


料理は苦手だけど、レタスぐらいは千切れる


レタスを千切ったあとは部長の切ったキュウリとタマネギを皿に盛り付けサラダにする


で、あとは部長にお任せして、私はまたダイニングテーブルに座って部長を眺めいた



「出来たぞ」


テーブルにサラダと部長お手製の茄子とベーコンのトマトソースのパスタが並んだ


「わぁ!美味しそう」


「どうぞ、召し上がれ」


部長はギャルソンエプロンを外して椅子に座った


「いただきます」


初めて食べる部長の手料理


一口食べるととても美味しかった


「部長!美味しいです」


「それは良かった」


部長は私が食べるのを見届けると自分も食べ始めた


「部長って結構料理するんですか?」


「時間がある時はな。外食ばかりじゃ栄養偏るしな」


「さすがですね」



私の場合、洗濯や掃除は多少出来ても料理はあまり得意じゃない


だから、ダメなのかな…?



「星野?」


「あ、いえ…やっぱり女子は料理出来ないとダメですかね?」


「まぁ出来た方がいいかもしれないが、誰だって得手不得手があるのものだし、得意な分野を伸ばせばいいんじゃないか」



う〜ん。模範解答って思ってしまうのは私がひねくれているだろうか?


うん、多分そうなんだろなぁ


そんな自分に益々落ち込む


こんなの部長が私の為に付き合ってくれても、もう無理な気がする



「ごちそうさまでした」


部長がご飯を作ってくれたので、洗い物だけはせめてしようと洗っていると部長が隣に来て結局手伝ってくれた


「そうだ、温泉予約したから」


「え!取れたんですか?」


「あー取れた。今週末に一泊な」


「あの…部長…」



折角部長が予約してくれたのに、こんなの言うの辛いけど



「…やっぱり、私とは付き合わない方がいいと思うんです」


躊躇いがちに口にすると


「どうしてだか聞かせてもらえるか?」


部長は優しい声色で訊いてきてくれる


私は小さく深呼吸をして


「私みたいな彼氏に浮気されるような女に、いくら次の恋愛が出来るまでって言っても部長の貴重な時間が勿体無いと思うんです」


「だから、俺とは付き合わないと?」


「はい」と頷くと部長が私を抱きしめた


「星野、一体お前は俺をいくつだと思ってるんだ。32だぞ、それくらいの歳になったら自分にとって何が無駄で何が無駄じゃないくらい判断出来る。俺は星野と一緒にいるとこは無駄じゃない」


「部長…」


部長が真っ直ぐに私を見つめる


「それに、もう自分のことを『私なんて』言い方するな。星野がいかに仕事を頑張っているか俺は知ってる、なんせ俺が上司になってからお前のことを見ていたからな。星野はいい女だ、浮気男の所為でお前が落ち込む必要はない」



部長がそんなこと言ってくれるなんて



嬉しくて涙が出そうになると、部長が「分かったか?」と私の頭を自分の胸に抱えながら訊いてくる



彼氏よりも長く私を見てくれていた上司だから、今はその言葉を信じよう



私は部長の胸で頷いた