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2-1 萌美の告白

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 ――大貫くんのこと好きなの。


 萌美の言葉は唐突だった。


 吹奏楽部はコンクール直前で練習も佳境という、夏休み直前の七月中旬のこと。コンクール前の追い込みの時期で、その頃の私はうまく音程が取れないトランペットの高音フレーズのことで頭がいっぱいだったのを覚えてる。


 そんな中での、萌美の告白だった。


 フルートなんてかわいいらしい楽器がいかにも似合う、『ふわふわ系女子代表』って感じの萌美。一年生の頃からの付き合いながら、萌美が恋愛話を私にしてきたのはそのときが初めてだった。そのこと自体は嬉しかった。


 だけど。


 何も言わない私の両手を、萌美はがしっと握ってきた。


 ――マリナ、友だちだよね? 応援してくれるよね?


 わずかに頬を赤くし、萌美は目を潤ませていた。そんな萌美に私は何も言えなくて、小さく、でも確かに頷いてしまった。


 あのとき、私は言えばよかったんだ。


『私もタクが好きなんだ』って。


 でも、私は言わなかった。言えなかった。


 そして、私が何も言えないでいるうちに、夏休みが終わって、気づいたら萌美はタクと付き合い始めてた。


 私はおごってたんだ。油断もしてた。萌美のことを思うようなフリをして、内心、タクなら大丈夫だって思ってた。――だって。




 私は、タクとキスしたことがあったから。